『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「梅枝」はその32帖目のお話です。
「梅枝」の登場人物
源氏、兵部卿宮、秋好中宮、明石の姫君、夕霧、雲居雁、内大臣
「梅枝」のあらすじ
薫物合わせ
間もなく、明石の姫君の御裳着(女子の成人式)が行われ、東宮への入内も近づいています。
入内に持参する調度類の選定に余念がない源氏は、薫物の調合を方々に依頼しました。
朝顔の君は黒方、源氏は侍従、紫の上は梅花、花散里は荷葉、明石の御方は薫衣香、
それぞれ素晴らしく、諸芸に通じる兵部卿宮も、甲乙つけがたいと判定に悩むほどです。
御裳着
二月、明石の姫君の御裳着が行われました。
元斎宮から中宮になった運にあやかり、また明石の姫君の格上げの意味もあって、秋好中宮が腰結い役を務めました。
このような盛儀でも、実母明石の御方は、受領階級出身のため明石の姫君の傷になってはと、近くで晴れ姿を拝することも出来ないのでした。
草子あつめ
同じ頃、東宮(皇太子)も元服し、他家の姫君が遠慮してはならないと、明石の姫君は少しずらして4月に入内することとなりました。
習字のお手本に持たせる草子作りにも、余念がなく、兵部卿宮や左衛門督など能書家に依頼し、
夕霧や柏木などの若い公達には、葦手(水辺に葦のある絵の中に水、葦などの形に隠し書いた文字)や、歌絵(一首の歌の意を絵にし、そこに歌を書く)を書かせます。
あらゆる芸術は今より古の方が趣があるとしながら、書道に関しては現代の方が優れていると、源氏は評します。
仮名では、故六条御息所、院の尚侍(朧月夜の君)、紫の上を現代の上手としてあげています。
兵部卿宮も、秘蔵の嵯峨帝の古万葉集や延喜帝の古今和歌集を進呈しました。
数々の名品から選りすぐりを持たせるのでした。
内大臣の焦り
内大臣(源氏の義兄)は一連の盛儀を傍観しながら、婚期も過ぎたわが娘雲居雁が、東宮にも差し上げられなかった挙句、夕霧ともご破算になってはと弱気になっています。
最近夕霧には、右大臣家や中務卿宮家などから縁談が持ち掛けられているからでした。
父源氏も早く落ち着く先をと促します。
夕霧は雲居雁以外に心を移す気はないものの、もう一つ位が上がって納言になった暁にと、今は動きを見せません。
これまで源氏への意地から、絶対にこちらから折れるまいと張り合っていたことを、今となっては後悔される内大臣なのでした。