『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「藤裏葉」はその33帖目のお話です。
「藤裏葉」の登場人物
源氏、夕霧、内大臣、雲居雁、明石の姫君、紫の上、明石の御方、冷泉帝、朱雀院
「藤裏葉」のあらすじ
夕霧 雲居雁と結ばれる
内大臣(源氏の義兄)は母大宮の一周忌で、夕霧(源氏の子、甥)の袖をとらえて、遂に和解を申し入れたのでした。
そもそも二人の仲を引き離したのは、娘雲居雁を東宮に差し上げると言うより、源氏への意地からでした。
しかし、ここへきて夕霧以上の婿は居ないと思いなおしたのです。
内大臣の二条邸の藤の宴に招待された夕霧は、
春日さす藤の裏葉のうらとけて君し思はば我も頼まむ(後撰、春下、読み人しらず)
(あなたが誠意を示してくれるのなら、私も頼みにしましょう)
この一節「藤の裏葉」を内大臣が詠みかけ、結婚を承諾します。
「藤の裏葉」とは藤の若葉のことです。
この夜、ようやく夕霧は雲居雁との長い恋を実らせるのでした。
以上から「藤裏葉」と呼ばれます。
明石の姫君の入内
4月、明石の姫君(源氏の娘)の入内を前に、紫の上(源氏の正妻)は、御阿礼詣でに出かけます。
六条院の妻妾方も誘いますが、引き立て役に回るようなので誰も追従しませんでした。
ですが、翌日の葵祭りは、総出の見ものとなりました。
明石の姫君の入内の日、紫の上は付き添いで、后と同じ待遇の御輦車で宮中への出入りを許されます。
紫の上の退出と入れ替わるように、実母明石の御方が、後見役で付き添うことになります。
三歳で手放して以来、数年ぶりの親子の対面です。
養母の紫の上が、その役を譲り実現したのでした。
明石の御方の控えめながらも、行き届いたお世話のおかげで、後宮では、早くも風流な貴公子たちが集うサロンが形成されつつあります。
冷泉帝と朱雀院の六条院行幸
源氏は冷泉帝(源氏の弟、実は実子)の特別の計らいで、准太上天皇に任ぜられました。
院(退位した天皇)と同等の位に昇りつめた源氏は、幼いころの高麗人の占いに改めて思いをはせます。
内大臣は太政大臣に夕霧は中納言にそれぞれ昇格し、夕霧は雲居雁と亡き大宮と過ごした三条邸に移りました。
秋も深まる頃、六条院では冷泉帝と朱雀院が行幸し、故父桐壺帝の紅葉賀を思わせる盛儀が催されます。
ここに源氏の栄華は、頂点を極めるのでした。