34帖「若菜 上」女三宮の降嫁

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源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?

ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。

『源氏物語』は54帖から成り「若菜 上」はその34帖目のお話です。

「若菜 上」の登場人物

源氏、朱雀院、玉鬘、紫の上、女三の宮、明石の女御、明石の御方、夕霧、柏木

「若菜 上」のあらすじ

女三宮の降嫁

朱雀院(源氏の兄)は病がちのため、西山の御寺に出家遁世したいと考えていました。

ただ気がかりなのは、皇女三の宮です。

女三宮の亡き母藤壺女御は、故入道の宮(藤壺中宮)や式部郷宮(紫の上の父)とは異母姉妹にあたります。

年齢の割にどことなく頼りないので、寄る辺のない女三宮の行く末を乳母も案じ、六条院(源氏)に仕える左中弁(乳母の兄弟)を通して、女三宮降嫁の話を持ちかけます。

源氏は、六条院の秩序を乱すのを恐れ、一旦は断りますが、夕霧や柏木、大納言など他の名だたる公卿を差し置いて、東宮(皇太子、朱雀院の皇子)からも口添えがあり、最後には了承してしまいます。

立場上断れなかったのもありますが、何より故入道の宮の姪という点に、再び色好みの癖を出してしまったのでした。

話がまとまり、女三宮の御裳儀(女子の成人式)を済ませた朱雀院は、ようやく出家を遂げます。

源氏の四十の御賀

年が明けて、今では左大将(鬚黒大将)の正妻におさまった玉鬘から若菜が献上され、四十の御賀が源氏の為に催されます。

そして2月女三宮は降嫁し、六条院の東南の寝殿の西側に入りました。

東の対の紫の上は皇族とはいえ、式部卿宮の外腹であり、正妻の座を譲ることとなります。

朝顔の君の件から数年来、まさかの出来事に、紫の上は一気に源氏への信頼を失うのでした。

自分から招いたとは言え、六条院で板挟みの源氏は、朱雀院出家後の朧月夜に再び逢瀬を迫る始末です。

それでも紫の上は他の妻妾の憐れみは買うまいと、平気を装い、これまで通り献身的に努めます。

玉鬘に続いて、冬には紫の上主催で、嵯峨の御寺にて薬師仏供養と二条院での御賀を催しました。

続いて六条院でも、秋好中宮と冷泉帝による御賀が、どれも盛大に催されたのでした。

明石の女御の出産

翌年3月、臨月を迎えた明石の女御(源氏の娘)は、六条院で無事に出産します。

明石の入道は、夢のお告げの通り男皇子が誕生した、と聞いて念願叶い奥山に入ります。

入道が掛けた住吉大社への願文が届けられ、祖母明石の尼君の昔語りと合わせて、明石の女御は初めて自分の生い立ちを知るのでした。

様々な人々の宿願の末に、今の自分の栄光があると改めて感謝します。

明石一族の繁栄にうぬぼれて、これまでの紫の上の貢献を忘れないよう、改めて源氏は、明石の女御と実母明石の御方に釘を刺すのでした。

柏木 女三宮を垣間見る

明石の女御も出産後、宮中に参内し、六条院は落ち着きを取り戻します。

そんな春の日の無聊を過ごそうと、東北の町で夕霧右大将らと共に、蹴鞠に興じる若人達を源氏の居る東南の町に呼び寄せます。

柏木もそこに加わって、蹴鞠に皆、没頭しはじめます。

東南の寝殿の西、女三宮も女房達と一緒に端近で、その様子を眺めていました。

そこへ、首に綱を付けた小さいが大きい猫に追いかけられるうちに、御簾が巻き上げられて、

柏木は女三宮の姿を見てしまいます。

柏木は女三宮が、源氏に降嫁する以前に求婚していましたが、今一つ位が釣り合わないので却下されていたのでした。

諦めきれずにいたところ、その姿を偶然見てしまい、恋しさが押さえられなくなってしまいます。

この後、女三宮の乳母子小侍従を通じて、徐々に接近していくのでした。

(参考文献)阿部秋生,秋山虔,今井源衛,鈴木日出夫.『源氏物語』①~④.小学館.2006.新編日本古典文学全集20~23
KoGeTu

大阪市生まれ。大学卒業後、旅行会社の添乗員として訪れた旅先で、古典の舞台に思いを馳せる内に、あらためてその世界に魅了されました。ブログ運営と共に、執筆活動も行っています。著作は、平安時代の検非違使の活躍を描いた小説『衛士の火は燃ゆ』(朱雀門編)があります。

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あらすじ源氏物語