『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「柏木」はその36帖目のお話です。
「柏木」の登場人物
源氏、柏木、朱雀院、女三宮、夕霧、落葉の宮、一条御息所
「柏木」のあらすじ
女三宮の出産と出家
父致仕の大臣と母北の方は、修験者を呼ぶなどあらゆる手を尽くしますが、柏木に生きる気力はありませんでした。
衰弱する一方、今わの際に一言でも憐れみの言葉をと、小侍従を通して女三宮に訴えますが、女三宮も共に煙になりたいと返します。
それは柏木を想うというより、源氏の冷遇から逃れたいだけでした。
それでもようやく憐れみをかけてもらえたと、これが柏木の最期の贈答となります。
やがて女三宮は男児(後の薫)を出産し、物も口にせず衰弱していきます。
この様子を聞いた父朱雀院は、出家の身も顧みず六条院を訪れ、女三宮に懇願されてやむなく出家させます。
傍らで源氏は、なす術もありませんでした。
朱雀院の帰還後、またしても故六条御息所の物の怪が現れ、女三宮を尼にさせたと白状しますが、もはや後の祭りでした。
柏木の死
死が間近の柏木を、何かと目をかけてきた今上帝は権大納言に昇進させます。
それもむなしく、臨終の柏木は親友夕霧を枕元に呼び、病の発端は源氏との行き違いにあったと、ほのめかします。
夕霧は蹴鞠の折から、柏木の女三宮への懸想に薄々感づいていましたが、まさか密会の末の女三宮の出産とは思い到りませんでした。
その後柏木は、妻落葉の宮の後事を託して、息を引き取ります。
夕霧 落葉の宮に接近
女三宮の生んだ男児は、五十日の祝儀を迎えました。
においやかで気品のある様子は、明石の女御腹の皇子たち以上に思えます。
母女三宮をはじめ尼姿の女房達に囲まれながら、無邪気な幼子に、源氏はその特異な運命を思わずにはいられません。
夕霧は柏木の遺言通り、未亡人となった落葉の宮の一条宮を訪問します。
次第に荒れてゆく邸内の女房達は、夕霧の来訪に秘かな期待を寄せます。
直接、落葉の宮の母一条御息所(元朱雀帝の更衣)が応接し、丁重にもてなします。
皇女の誇りを保つため、娘落葉の宮(朱雀院の第二皇女)には一生独身を通させるつもりでしたが、
致仕の大臣(源氏の義兄)の立っての依頼で、柏木に降嫁させたいきさつと、今その夫に死別した不都合さが語られました。
その後致仕の大臣を見舞った夕霧は、長男柏木に先立たれ、鬚も伸びて憔悴する大臣に心をいためます。
七日ごとの法事など、父と母に代わって取り仕切るのは、次の跡取りを背負っていく弁の君や弟たちでした。
そんな中、何度か夕霧が一条宮を訪問するうちに、体調を崩した母一条御息所に代わって、落葉の宮が侍女を通じて応対する機会があります。
慎み深い落葉の宮の気配に惹かれて、夕霧は恋心をほのめかすのでした。