『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「紅葉賀」はその7帖目のお話です。
「紅葉賀」の登場人物
源氏、桐壺帝、藤壺の宮、頭中将、源典侍
「紅葉賀」のあらすじ
青海波を舞う
十月、間もなく朱雀院への行幸を控え、紅葉賀の試楽が本番さながら清涼殿で催されました。
当日、同行できない藤壺の宮の為に、桐壺帝が特別に配慮したのです。
源氏は、愛おしい藤壺の前で渾身の想いを込めて袖をかえし、
西日に照らされて青海波を舞う源氏の姿は、神隠しにあいそうな程美しく、共に舞う頭中将(義兄)が、どんなに素晴らしくても、引き立て役になってしまうのでした。
あまりの美麗さに神に召されはしないかと、案じた父帝があちこちで祈祷をするので、東宮(皇太子)の母弘徽殿女御は、これについても面白からぬ思いを口にするのでした。
この盛儀にあやかって、源氏は正三位に、頭中将(義兄)も加階されました。
皇子誕生
予定より遅れて藤壺の宮は、男皇子を出産します。
藤壺は皇子が源氏に瓜二つなので、秘密の露見を畏れ、ますます身の縮む思いでいます。
一方、桐壺帝は何の疑いもなく、母更衣の身分が低く、源氏に皇位を継がせ得なかった無念を、
今度こそは傷の無い玉である、この皇子に遂げさせようと慶びもひとしおです。
出産後、心身ともに弱っていた藤壺ですが、反目する弘徽殿女御に対して、我が子を守るため生きる気力を奮い立たせるのでした。
色好みの源典侍
桐壺帝はもう高齢ですが、若い時から教養高く、華やかな女官を取り揃えていました。
中でも源典侍と呼ばれる老女は、家柄も良く嗜みも一流ですが、色好みなのが玉に傷でした。
そんな典侍が、源氏を見逃すわけはなく、何度も色めかしてきます。
これまで軽くあしらっていた源氏は、ある時、温明殿を通りかかり、典侍の琵琶の音色に惹かれて情けをかけてしまいます。
そこへ、以前から通っていた頭中将が忍び込み、わざと太刀を抜いて挑みかかります。
源氏は途中でその人と気づきますが、慌てた源典侍が頭中将の足元に必死に追いすがり、二人はその姿に吹き出しながら、その場を後にします。
たわむれるうちにお互いの片袖と帯を引きちぎって、それぞれ持ち帰り、これを人質にお互い口がためをするのでした。
その頃、いよいよ譲位を考える桐壺帝は、次の東宮に藤壺の産んだ皇子を就かせようと藤壺を中宮にしました。
皇子の周りは皇族ばかりで、迫る次期右大臣家の権勢に対抗するには心もとなく、せめて母の位を揺るぎがたいものにしておくためです。
長年仕えた自分を差し置いてと、不満げな弘徽殿女御に帝は、東宮が即位すれば、自然皇太后になるのだからとなだめるのでした。