24帖「胡蝶」六条院の春

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源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?

ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。

『源氏物語』は54帖から成り「胡蝶」はその24帖目のお話です。

「胡蝶」の登場人物

源氏、紫の上、秋好中宮、玉鬘、兵部卿宮、右大将

「胡蝶」のあらすじ

秋好中宮の里下がり

晩春に近い頃、中宮が六条院に里下がりします。

まだまだ花の盛り六条院の東南、紫の上の春の町では、舟楽が催され親王や上達部が大勢参加します。

庭前の池は仕切られておらず、中宮の西南の秋の町とは、舟で行き来できます。

中宮は身分上、紫の上の春の町に訪れることが出来ないので、舟で中宮方の女房が春の町に花の盛りの様子を見に来ました。

釣殿に出た紫の上の女房方と、桜や山吹を愛でて歌を詠み交わします。

六条院完成時は、ちょうど秋の盛りだったので、秋を愛でる歌が中宮から紫の上に贈られていました。

この時から、前斎宮女御は秋好中宮と呼ばれています。

春を好む紫の上は源氏としめしあわせて、春になったらこの町の素晴らしさを中宮に見せつけようと、春秋優劣論は一旦保留にしておいたのです。

秋好中宮の季の御読経

秋好中宮の季の御読経が行われます。

前日の春の町の宴に続いて、多くの親王や上達部が、そのまま六条院に残って秋の町に移りました。

胡蝶楽と迦陵頻の舞装束の女童が、銀の花瓶に桜、金の花瓶に山吹を挿し、それぞれ乗せた舟が紫の上方から寄せられます。

夕霧の中将を使者として、

花ぞののこてふをさへや下草に秋まつむしはうとく見るらむ

(草の陰で待つ虫=そちらでは、春の花園のこの胡蝶さえもお気に召さぬものと、ご覧になっているのでしょうか)

と、秋好中宮に贈られたのでした。以上から「胡蝶」と呼ばれます。

すっかりやり返されたと、中宮は微笑んでご覧になります。

玉鬘の求婚者たち

舟楽や季の御読経に、沢山の親王や上達部が六条院に訪れました。

玉鬘がお目当ての殿方が少なからずです。

源氏の思惑通りの六条院の華やぎです。

玉鬘に寄せられる沢山の恋文の中、特に目をひくのが、兵部卿宮(源氏の異母弟)と右大将(東宮の叔父)と内大臣の長男柏木の文です。

兵部卿宮は妻を亡くし、諸芸に通じた風流人ですが、浮気な性分です。

右大将は東宮(皇太子)の叔父で、将来有望ですが、無骨で風流じみておらず、情緒不安定の妻(紫の上の異母姉妹)と離婚したがっていました。

封が開けられていない結び文は、実の姉と知らない内大臣の長男柏木からなので、玉鬘としては扱い兼ねていたのです。

いずれも源氏の指示がない限り、返歌はしないよう右近に言いつけています。

今や右近は、玉鬘付きの侍女です。

実父内大臣に玉鬘の存在を未だに内緒にしているのは、しかるべき相手と縁組みしてからの方が、長年会っていないせいで、片身の狭い想いをせずに済むだろうとの理由ですが、本音は恋のさや当てを楽しみたいからです。

ですが、源氏自身が玉鬘に恋してしまい、気持ちを押さえきれずに、玉鬘の手をとらえて添い寝までしてしまいます。

実事の一歩手前で自制したのは、実の娘に手を出したと悪評が立つのを恐れ、世間体をはばかったからです。

若い時と違って、無闇に手出し出来なくなっているのでした。

いっそ内大臣に打ち明けて、自分のものにしてしまおうかと考えたりします。

男性を知らない玉鬘は、源氏の意外な行動に驚き、すねてしまうのでした。

(参考文献)阿部秋生,秋山虔,今井源衛,鈴木日出夫.『源氏物語』①~④.小学館.2006.新編日本古典文学全集20~23
KoGeTu

大阪市生まれ。大学卒業後、旅行会社の添乗員として訪れた旅先で、古典の舞台に思いを馳せる内に、あらためてその世界に魅了されました。ブログ運営と共に、執筆活動も行っています。著作は、平安時代の検非違使の活躍を描いた小説『衛士の火は燃ゆ』(朱雀門編)があります。

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あらすじ源氏物語