『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「明石」はその13帖目のお話です。
「明石」の登場人物
源氏、明石の入道、明石の御方、紫の上、朱雀帝
「明石」のあらすじ
明石の浦
上巳の祓えの後、須磨の浦では雨風止まず、高潮が迫り雷鳴が轟いています。
そんな中、紫の上の使者が、都でも悪天候が続く様子を語ります。
源氏はこの一帯を領じる、住吉大社の神と竜神に一心に祈祷するのでした。
寝殿に続く廊屋に落雷したため大炊所(調理場)に避難し、下々の者が泣き叫ぶ中、源氏は静かに読経していました。
その夜、夢枕に故桐壺院が現れ、
「どうしてこのような所に居るのか、導きのままにこの浦を離れよ」と告げます。
翌朝、源氏を迎えに明石の入道が小舟でやってきます。
入道の方も夢にお告げを受け、この日にあわせて小舟を寄せたのでした。
故院の夢とも思い合わせ、この際世間体は省みず、入道の誘いに導かれて明石の浦に移ります。
明石の御方
明石の入道の海辺の邸は、都の風情にも劣らず、浦の景色を活かした趣のある造りです。
もう少し奥まった岡辺の邸には、北の方と一人娘が暮らしています。
立ち並ぶ倉には播磨守時代に一生暮らしに困らぬ程の蓄えを築き、
今は出家して三昧堂で念仏を唱える日々を送っています。
入道には長年、この娘にかける宿願があり、住吉大社に毎年春と秋にお詣りしています。
初夏の夕月夜、源氏が琴で広陵という曲を奏でると、その音色に誘われて、入道も箏の琴や琵琶を弾奏します。
醍醐帝から受け継がれる腕前は見事なものですが、娘はこれ以上と、ようやく話の糸口を掴んだ入道は、娘を源氏に薦めます。
娘は身分不相応と頑なに拒みながらも、秋も深まる頃、岡辺の邸に訪れた源氏の君と結ばれるのでした。
意外な程、気品があり嗜みも教養も備える娘に、都の紫の上に気兼ねしつつも、逢瀬を重ねるのでした。
都への帰還
あの嵐の夜、故桐壺院は都の朱雀帝の夢にも現れ、源氏を重用するようにとの遺言を違えていると、嗜めます。
その後、帝は眼病を煩い、皇太后(元の弘徽殿女御)も病が重くなっていく一方で、太政大臣(朱雀帝の祖父)も亡くなり、天変地異も重なって、遂に、源氏の赦免の宣旨を下します。
ようやく都に戻れる源氏は、入道や明石の御方に見送られ、涙ながらに明石の浦を後にします。
明石の御方は源氏の子を宿しており、必ず都へ迎えると約束し、形見に大切な琴を授けて都へ旅立つのでした。