『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「藤袴」はその30帖目のお話です。
「藤袴」の登場人物
源氏、夕霧、玉鬘、内大臣、髭黒大将
「藤袴」のあらすじ
夕霧「藤袴」を贈る
祖母大宮の喪が明けると、いよいよ玉鬘は尚侍として出仕します。
ですが内心、後宮での帝寵争いに巻き込まれはしないかと、出仕の日が近くなるにつれ憂鬱な日々を過ごしていました。
除服の御祓の日取りなどを伝えに来た、夕霧(源氏の子)は玉鬘が実の姉でないと知って以来、その美貌を垣間見ているので、異性として意識せずにはいられません。
夕霧も祖母大宮の喪中なので、それぞれ藤衣(喪服)を身につけています。
その藤色にちなんで夕霧は、藤袴の花に、
おなじ野の露にやつるる藤袴あはれはかけよかごとばかりも
(同じ野の露にしおれて=同じ悲しみの涙に濡れる藤袴=紫のゆかりの色=血縁の者同士申し訳程度でも憐れみをかけてください)
と添えて、玉鬘に贈ります。以上から「藤袴」と呼ばれます。
これに玉鬘は、血縁以上の関係にはなり得ないと応じるのでした。
意中をほのめかして、かえって気まずい思いをする夕霧です。
夕霧光源氏の本心を探る
夕霧は、父が実子でない玉鬘を引き取って何故、今頃内大臣に対面させたのか、腑に落ちないこともあり、父源氏を問い詰めます。
さしずめ玉鬘を愛人にしたものの、六条院の秩序を乱したくはないので、捨てがてに向侍にして以後も関係を続けようという、六条の大臣(源氏)の思惑だろうとの、内大臣の見立てを話して反応を見ます。
源氏は、内大臣の勘の良さに内心、恐れさえ感じますが、平静を装っています。
世間に玉鬘との関係が、潔白であると証明したい程でした。
髭黒大将の求婚
実の姉と知らずに玉鬘に熱心に求愛していた柏木は、気まずいながらも今では兄弟として、父内大臣からの取り次ぎ役です。
右近衛府の中将である柏木は、上司の右大将(髭黒大将)に玉鬘への求婚の仲立も依頼され、玉鬘付きの弁のおもとを通じて接触を試みるのでした。
また、右大将は実父の内大臣にも熱心に頼み込んでるようです。
内大臣としては、娘の弘徽殿女御がすでに後宮にあがっているので、玉鬘には尚侍になって欲しくはないのですが、何分源氏の意向に従うしかありませんでした。