11帖「花散里」橘の香をたずねて

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源氏物語』って、長くて難しそうだけど、どんなお話?

ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。

『源氏物語』は54帖から成り「花散里」はその11帖目のお話です。

「花散里」の登場人物

源氏、中川の宿の女、惟光、麗景殿女御、花散里

「花散里」のあらすじ

中川の宿の女

五月雨の頃、麗景殿女御の元へ訪れる途中、中川(京極川)で見覚えのある邸の側を通りかかります。

宿主はその昔、通った女人と思われ、邸内の立派な桂の木にほととぎすが鳴き、つい懐かしくて惟光に挨拶に行かせます。

すると見当違いではないですか、と言わんばかりの応対で、惟光はそれ以上踏み込まず戻ってきました。

新しい男性が通うからか、それとも右大臣家の権勢に遠慮されるのか、いづれにしても、世の中の人情の移り変わりを痛感する源氏でした。

花散里

麗景殿女御は、故桐壺院との間に子はなく、後宮では地味な存在でした。

慎み深く思いやりある人柄に惹かれて、桐壺院崩御後も時折訪れる源氏は、心細く暮らす女御を支えるのでした。

軒端の橘が香しく、先ほどのほととぎすが、慕ってきたかのような鳴き声に、

橘の香をなつかしみほととぎす花散る里をたづねてぞとふ

(昔を思い出させる橘の香りを懐かしみ、花が散った後も、ほととぎすがこちらの里を訪れます)

以上より「花散里」と名付けられます。

昔の想い出を語り合った後、西の対の女御の妹三ノ宮(花散里)を訪れます。

宮中でなれそめ、以来途絶えがちながらも、その仲は続いているのでした。

女君も恨めしく思う節もありながら、たまさかの訪れでも温かく迎えてくれます。

ここはいつでも変わらず、昔の想い出を語り合える数少ない場所なのでした。

(参考文献)阿部秋生,秋山虔,今井源衛,鈴木日出夫.『源氏物語』①~④.小学館.2006.新編日本古典文学全集20~23
KoGeTu

大阪市生まれ。大学卒業後、旅行会社の添乗員として訪れた旅先で、古典の舞台に思いを馳せる内に、あらためてその世界に魅了されました。ブログ運営と共に、執筆活動も行っています。著作は、平安時代の検非違使の活躍を描いた小説『衛士の火は燃ゆ』(朱雀門編)があります。

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あらすじ源氏物語