41帖「幻」そして出家へ

本サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?

ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。

『源氏物語』は54帖から成り「幻」はその41帖目のお話です。

「幻」の登場人物

源氏、中将の君、女三宮、花散里、明石の御方

「幻」のあらすじ

紫の上の一周忌

紫の上が亡くなり、失意のまま月日だけが過ぎていきます。

二条院の紫の上、遺愛の梅と桜を受け継いだ三ノ宮(匂宮)は、幼いながらも風で散る花びらを惜しんでいます。

出家後は、そんな無邪気な孫の姿を見ることも無くなるのです。

葵祭りや七夕、華やかな年中行事にもなんの感慨も沸かず、何を見ても故人との思い出が浮かぶばかりです。

やがて紫の上の一周忌を迎え、その後も、重陽の節会、豊明の節会など季節は巡る中、人に会うのも稀になってしまいました。

幻でもいいから尋ねていきたいと、玄宗皇帝の「長恨歌」や父桐壺帝が母更衣を亡くした折の心境を、今の自分と重ねます。

女三宮や明石の御方に会っても、かえって孤独を感じ、紫の上の代わりに衣替えする花散里や、中将の君(昔から源氏と関係のある女房)が、わずかに源氏の悲しみに寄り添います。

紫の上の文を焼く

一周忌を終え、年が明けたらいよいよ出家を決意する源氏は、懐かしい故人の文を焼いてしまいます。

年の瀬も迫り、歳末の行事である御仏名に、源氏は久々に人々の前に姿を見せます。

その姿はこれまで以上に美しく神々しく、周囲を圧巻するものでした。

やがて年が改まり、これが最後と年始の行事を盛大に行いながら、我が世も尽きたと万感の思いで幕は閉じられるのでした。

(参考文献)阿部秋生,秋山虔,今井源衛,鈴木日出夫.『源氏物語』①~④.小学館.2006.新編日本古典文学全集20~23
KoGeTu

大阪市生まれ。大学卒業後、旅行会社の添乗員として訪れた旅先で、古典の舞台に思いを馳せる内に、あらためてその世界に魅了されました。ブログ運営と共に、執筆活動も行っています。著作は、平安時代の検非違使の活躍を描いた小説『衛士の火は燃ゆ』(朱雀門編)があります。

KoGeTuをフォローする
あらすじ源氏物語