『源氏物語』って、長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「澪標」はその14帖目のお話です。
「澪標」の登場人物
源氏、冷泉帝、朱雀院、六条御息所、前斎宮、入道の宮
「澪標」のあらすじ
冷泉帝の即位
政界に返り咲いた源氏は、父桐壺院の追善供養に盛大な法華八講を催します。
朱雀帝は譲位し、冷泉帝(源氏の弟、実は実子)が即位しました。
宿曜(占い)の通り、明石でも女の子が誕生、宣旨の娘を乳母として派遣します。
冷泉帝の後見として内大臣に昇進した源氏は、摂政(幼帝の代わりに政治を補佐)を義父太政大臣に譲ります。
義兄宰相中将も権中納言に昇進し、娘弘徽殿女御を冷泉帝に入内させます。
兵部卿宮(入道の宮の兄、紫の上の父)も娘の入内を考えていますが、
須磨流離の際の薄情を思い、源氏は何の力添えもしないのでした。
住吉大社の御願ほどき
政界に復帰した源氏は、威儀をただして住吉大社に御願ほどきに詣でます。
そこへ、恒例のお詣りに舟でよせた明石の一行が鉢合わせ、一旦難波で停泊します。
側近の惟光から次第を聞いた源氏は、帰途、難波の祓えで文を遣わします。
みをつくし恋ふるしるしにここまでもめぐり逢ひけるえには深しな
(身を尽くしてあなたを想うかいあって、澪標のある難波でめぐり逢うほど宿縁は深かったのですね)
以上より「澪標」と名付けられます。
幼い姫と共に都に迎えたいとの源氏の言葉に、不安で決心がつきかねる明石の御方でした。
前斎宮の帰京
その頃、帝の代替わりで伊勢から前斎宮が、母六条御息所と共に帰京しました。
病がちの六条御息所は出家し、見舞いに訪れた源氏に、
娘に色目はつかわないよう釘を刺しつつ、後事を託して息を引き取ります。
同じ頃、朱雀院も別れの櫛の儀以来、前斎宮の面影が忘れられず、意中をほのめかしていました。
生前の六条御息所は、自身が前東宮(前斎宮の父)と早くに死別したので、
病弱な朱雀院からの誘いにあまり乗り気ではありませんでした。
前斎宮の冷泉帝への入内を考える源氏は、朱雀院に気兼ねしつつも、
入道の宮(藤壺)の口添えで、まずは自身の養女として迎えるつもりです。