『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「鈴虫」はその38帖目のお話です。
「鈴虫」の登場人物
源氏、女三宮、冷泉院、秋好中宮
「鈴虫」のあらすじ
女三宮の持仏開眼供養
入道の宮(女三宮)の持仏開眼供養が、六条院で盛大に営まれました。
今上帝(女三宮の兄)や父朱雀院から沢山のお布施、紫の上をはじめ、六条院の妻妾方からも僧服など数々の心寄せがあります。
相変わらず頼りない宮に代わって、源氏が取り仕切ります。
宮の朝夕の持経に、源氏が自ら筆をとって寄せるなど、尼姿となった女三宮に、かえって執着が芽生えるのでした。
宮は出家を機に朱雀院の勧めもあって、三条宮(父朱雀院から譲られた邸)に移る準備が進みますが、源氏としては複雑です。
現在の住まい六条院の東南、寝殿の西側は出家の身にふさわしく、野辺の風情に造り変えられました。
中秋の頃、念誦に励む宮を訪れます。
おほかたの秋をばうしと知りにしをふり棄てがたき鈴虫の声
(だいたいにつけて秋は厭わしいものと思ってきましたが、鈴虫の声を聞くとその秋も振り捨てにくうございます)
宮の詠みかけに、源氏は返します。
心もて草のやどりをいとへどもなほ鈴虫の声ぞふりせぬ
(ご自分からこの世をお棄てになったあなたですけど、それでもやはり鈴虫の声のように若くお美しいのです)
以上から「鈴虫」と名付けられます。
琴の弾奏に誘われ、夕霧や兵部卿宮が集い、この夜久しぶりに管弦の宴が催されました。
冷泉院へのお誘い
宴の最中、冷泉院のお誘いがあり、恐縮した源氏はすぐに参上します。
冷泉院がまだ帝位にある頃は、気ままに会えなかった父子の対面です。
このために譲位した冷泉院の希望が叶いました。
続いて、共に暮らす秋好中宮にも対面し、出家の意思を打ち明けられます。
朝顔の君、朧月夜、女三宮と続けざまに出家しているので、その影響かと思う源氏は制止します。
ですが中宮は、成仏しきれない母の魂を弔いたい一念を打ち明けます。
未だに物の怪となって現れる、亡き母六条御息所の噂に、心を痛めていたのでした。