『源氏物語』って長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「横笛」はその37帖目のお話です。
「横笛」の登場人物
源氏、夕霧、一条御息所、落葉の宮、雲居雁
「横笛」のあらすじ
柏木遺愛の横笛
柏木の一周忌には、源氏や夕霧から数々の志が寄せられ、深い事情を知らない父致仕の大臣や母北の方は感謝に耐えませんでした。
月夜に琴の音色に誘われ、一条宮を訪れた夕霧は、迎えた母一条御息所に落葉の宮の和琴を所望します。
夫以外の男性の前で簡単に手を触れるわけにはいきませんが、夕霧が琵琶で「想夫恋」を掻き鳴らすと、少しばかり落葉の宮も和琴に手を触れるのでした。
帰り際に一条御息所は、柏木遺愛の横笛を夕霧に託します。
一条宮の余韻に浸りながら、帰宅する夕霧を迎えるのは、月を眺める情緒もなく、幼い子供達とその世話に追われる妻の姿です。
一条宮の噂を耳にして、夕霧に嫌味を言う妻雲居雁ですが、長年連れ添ったとは言え、愛嬌がありどこか憎めなくもあります。
その夜、柏木の亡霊が夕霧の枕元に立ち、一条御息所から預かった横笛は、夕霧に渡るのは筋違いと伝えて姿を消しました。
源氏に横笛を託す
横笛を渡すべき筋に思いあたる夕霧は、六条院を訪れます。
明石の女御腹の二の宮や三の宮(後の匂宮)と、女三宮の産んだ男児(後の薫)も一緒に遊んでいます。
あらためて柏木の面影を、その子に見る思いがします。
柏木の死について今日こそ問いただすべく、父源氏を尋ねると、先に落葉の宮との件に釘を刺されます。
痛いところをつかれながらも夕霧は、六条院(源氏)にお詫びをとの臨終の柏木の伝言と、預かった横笛に何か関係があるのか、反応を伺います。
しかし、故人の恨みを買った覚えもなければ、その横笛は由緒あるものなのでこちらで預かっておくと、あっさりかわされてしまうのでした。
源氏としては、詮索はしても、夕霧もこの重大な秘密について確信はないのだろうと、あえて否定もせず、本人の想像に任せようとの考えです。