『源氏物語』って、長くて難しそうだけど、どんなお話?
ここでは、わかりやすく各帖にわけてあらすじをご案内しています。
『源氏物語』は54帖から成り「少女」はその21帖目のお話です。
「少女」の登場人物
源氏、夕霧、大宮、内大臣、雲居雁、中宮
「少女」のあらすじ
夕霧の元服
入道の宮(藤壺)の諒闇も明けた葵祭の頃、未だ前斎院の朝顔の君は、父宮の喪に服していました。
いよいよ除服を迎えると、源氏は再度、意中をほのめかしますが、遂に朝顔の君は応じることはありませんでした。
一方、母葵の上を幼い頃に亡くした夕霧は、養育された祖母大宮の三条宮で元服(男子の成人式)を迎えます。
官位は当然、四位からのはずが、上流貴族の子弟として苦労もなく高い位に就くのを危惧する父源氏の方針で、
まずは、官人としての実務能力を身につけるために、大学寮(官僚養成機関)を受験させ、袍の色は、まさかの六位の浅葱からの始まりです。
学者として字をつける儀式は、二条院の東の院で行われました。
夕霧の師として、これまで陽の目を見なかった博士や、学問から立身出世した者達が脚光を浴び始め、
源氏が理想とする聖代の学問隆盛の気運が高まります。
夕霧と雲居雁の恋
冷泉帝の中宮(后の最高位)には、斎宮女御(源氏の養女)が立ちました。
源氏は正式に太政大臣を引き受け、内大臣を義兄(亡き妻葵の上の兄)に譲ります。
先に入内した内大臣の娘、弘徽殿女御を差し置いて、源氏からの立て続けの立后に、内大臣だけでなく大宮(内大臣、故葵の上の母)もこれには不服です。
その頃、内大臣には離縁した妻との間にもう一人娘(雲居雁)がおり、夕霧と共に大宮の元で養われました。
弘徽殿の立后が絶たれ、今度は雲居雁を東宮に差し上げようと考える内大臣は、ある日、女房の噂話で夕霧と雲居雁の恋仲を知り、大宮の監督不行き届きを責めます。
そこで、噂が立つ前に夕霧と引き離すため雲居雁を、強引に自邸に引き取るのでした。
六条院の完成
豊明の節会(新嘗祭)の五節の舞姫に、惟光(源氏の側近)の娘が選ばれました。
雲居雁への想いを絶ちきれない夕霧は、その美しい舞姫に心ひかれ、父惟光もまたとない縁談と歓迎します。
年が明けて朱雀院の行幸の折の詩作で、夕霧は進士(式部省試に及第して文章生となる)となり、
秋には侍従に任命され、ようやく浅葱の袍から抜け出しました。
この頃、故六条御息所の邸宅を元に、さらに四町に拡張した六条院を完成させます。
四季それぞれの趣を凝らして、
東南の春の町は源氏と紫の上、西南の秋の町(元の六条御息所邸)には中宮、
東北の夏の町は花散里と馬場殿、西北の冬の町には明石の御方と御倉町を配しました。
移徒の頃、ちょうど中宮の町の秋の風情が見頃で、秋を賛美する歌が紫の上に贈られます。
これ以降、元斎宮女御は「秋好中宮」と呼ばれます。
秋の風情を見せつけられた源氏は、一旦、春が来るまで春秋優劣論はお預けにしようと、紫の上に持ちかけるのでした。